じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

落語の世界は深い!part5

前回のブログで江戸落語を代表する二人の名人「五代目古今亭志ん生」師匠と「六代目三遊亭圓生」師匠をご紹介いたしました。
荒唐無稽で破天荒、独特な芸風で人間の本質を描く。永遠に生き続ける芸と称される志ん生師匠。そして、幅広いレパートリーときめの細かい芸。三遊派本来の本格的な芸の継承者と言われる圓生師匠。今なお、数多くの方々に愛され続けている名人の方々です。
というわけで、本日の話題は、江戸に対して、上方落語を代表するお二人、「六代目笑福亭松鶴」師匠と「三代目桂春團治」師匠をご紹介いたします。
まずは、「六代目笑福亭松鶴」師匠。酒をこよなく愛し、豪放磊落な語り口で上方落語の復興に生涯を賭けた松鶴師匠。母方の祖父も六代目林家正楽というサラブレッド。昭和37年に六代目を襲名し、その後、上方落語協会会長を務め、56年には長年の功績が認められて上方落語界初の紫綬褒章を受章。他にも芸術祭優秀賞、大阪市民表彰など多くの受賞歴。「天王寺詣り」「高津の富」「三十石」「貧乏花見」「一人酒盛」など代表作も多数あり、録音物やビデオも数多く残っています。
◆ビクター落語 上方篇 六代目 笑福亭松鶴(1) 高津の富/貝野村
その中で「高津の富」は六代目松鶴師匠十八番のネタのひとつ。主人公は田舎から出てきたある男。大阪の北の大川町の宿屋を舞台に、「自分は金持ちだ」と自慢する男に、宿屋の主人は売れ残った富くじを買ってもらう。しかし実はこの男、大事に取っておいた最後の一分を富くじに使ってしまったので、すってんてんになってしまう。人でごった返す高津神社の境内の中で、一攫千金を夢見て人それぞれの思惑が展開され、くじに当たる人間の心理を巧みに描くとともに、二番くじが当たることを願う男の空想の場面も見せどころです。
この噺を五代目松鶴は義父の六代目正楽から教わっています。三代に渡って受け継がれ、現在の上方の落語家が演じる「高津の富」の原典ともいうべき、松鶴の「高津の富」。何度聞いても味わい深い!
続いては、「三代目桂春團治」師匠。形よく、端正に練り上げられた艶のある芸。「繊細」そして「華麗」な芸風を併せ持つと称される、春團治師匠。紫綬褒章、上方お笑い大賞など受賞歴は数知れず。六代目笑福亭松鶴師匠のあとを継いで、三代目の上方落語協会会長、また関西演芸協会の会長も務めるなど人望も厚い方。「親子茶屋」「鋳掛屋」「野崎詣り」「祝いのし」「お玉牛」「代書屋」「高尾」「皿屋敷」など、こちらも代表作多数。
◆ビクター落語 上方篇 三代目 桂春團治(1) 鋳掛屋/祝いのし/豆屋
鍋や釜、簡単なものははんだ付け、火にかけるものは鋳掛をして修繕をする。そんな職人である鋳掛屋が仕事をしているところへ、町の悪ガキたちが集まってきて、ひと悶着が起こる。。。「鋳掛屋」は代々の春團治が十八番にしたネタ。と言っても、代々の春團治は芸風が異なるのが面白く、初代の諧謔、二代の豪放、三代の緻密。「鋳掛屋」においても、子どもとおやじとのやりとりに、それぞれの特徴が出ています。面白いことに、代々の春團治はこのネタを、全て四代目文團治師匠から教わったといいます。三代目の演じる「鋳掛屋」は、文團治の演じるものとそっくり。今回収録されたものは、時間の関係で省略することもあるマクラの部分も、桃太郎のはなしなど、文團治とほとんど同じ。しかし、セリフを微妙に変化させて、聞く者を飽きさせない三代目春團治の緻密さが浮かび上がっているのも事実です。
上記名人たちの芸の数々については、まだまだ書き足りませんが、「五代目古今亭志ん生」、「六代目三遊亭圓生」、「三代目桂春團治」、そして「六代目笑福亭松鶴」各師匠のCDセットが、「ビクターファミリークラブ」という通販ショップ内で現在特集が組まれ、販売されております。手元に置いて、名人のCDを楽しみたい! 名人芸をじっくりと堪能したい! という方々。ご興味ありましたら、ぜひお電話してみてください。

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(よっしゃん)