じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

天からふってきた鼓

新春の古典芸能番組をいろいろと録画したのを、ようやく少しずつ観ています。今日は元日の早朝に放映された能「天鼓(てんこ)」を。出演は前シテが人間国宝の片山幽雪さん、後シテが片山九郎右衛門さんの父子でした。
山九郎右衛門さんは当財団の日本伝統文化振興財団賞の受賞者で、昨年5月の財団賞歴代受賞者によるチャリティ公演にも出演していただきました。こちらの記事で紹介しています。→【5/31(11)】片山九郎右衛門《能楽シテ方観世流》 #charity531 - じゃぽブログ
受賞のときは片山清司さんですが、お父さまの名前を襲名され、昨年の元日から九郎右衛門さんを名乗っています。九郎右衛門となってちょうど一年、ますますの充実ぶりを遂げていらっしゃるようです。
財団賞の贈賞理由では、すぐれた演能について触れているのはもちろんですが、「若年層のための能楽普及活動として、学校での能楽教室の開催、能の絵本の制作、映像を駆使した舞台制作、能舞台のCG化なども手掛けている」とあります。

この「天鼓」も能の絵本「天鼓—天からふってきた鼓」(BL出版、1,680円)というタイトルで出版されています。
「天から鼓がふってきた夢のあとに生まれた男の子は『天鼓』と名づけられる。少年天鼓と美しい音色の鼓がたどる悲しい運命、音楽がとりもつ父子の絆を描く」
物語の父子を本当の父子で演じられたわけですが、絵本の題材に選ばれたことからも、きっと九郎右衛門さんのお好きな演目なのではないかなと思いながら拝見しました。

テレビでお能を観ると、字幕がでるし(今は国立能楽堂でも字幕が出ますが)、デジタルになって画面がきれいだし、とくに装束の美しさがよく見えていいものだなぁと思いますが、あの声の響き、お囃子の迫力は、やはり能楽堂でなければ体験できないものです。
昨年はあまり伺えなかったのですが、今年はもっと能楽堂に!と思ったことでした。

(Y)